売るときに知っておきたいこと
不動産会社、査定依頼、売却価格、契約、引き渡し、税金まで。
不動産を売るときに必要な基礎知識をまとめました。
4 - 1 売却前に確認すること
売却にかかる諸費用の確認
不動産の売却には様々な費用などが必要となります。例えば、所有している物件に住宅ローンの残債がある場合には、その返済資金のほかに、ローンの抵当権を抹消するための費用も必要になります。このように、売却代金がすべて手元に残るわけではありません。
その他、物件や売却方法などによって、売却時に必要となる諸費用の額は異なりますので、仲介を依頼する不動産会社とも相談して、売却にかかる諸費用を把握するようにしましょう。
仲介を依頼した不動産会社へ媒介契約に基づいて支払う。
住宅ローン残債があり、抵当権が設定されている場合に抹消登記の登録免許税が必要となる。抵当権の抹消を司法書士に依頼する場合は、司法書士の報酬も必要となる。
不動産の売買契約書に印紙を貼り、割り印を押すことで納税する。
土地を実測して引き渡す場合には測量費用がかかる。
古家がある土地を更地にして引き渡す場合、建物の解体撤去費用がかかる。
物件の売却により利益が出た場合、所得税と住民税がかかる。
引っ越し費用や不要品の処分費用等も発生する。
なお、税金に関しては、マイホームの売却の場合の特例などがありますので、詳しくは「住まいの税金(住まいを売るときにかかる税金)」で確認してください。
売却物件に関する確認事項
物件の権利関係などは、売却の手続きや手順に影響しますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。確認資料として、登記記録(登記簿)や購入時の重要事項説明書、建築関係書類などが挙げられます。
不動産に関する主な権利には、所有権、借地権(建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権など)、区分所有権(1棟の建物に構造上区分したいくつかの独立した住居や店舗などがある建物を区分して所有する時の所有権)などがあります。
物件の権利関係については、法務局の登記記録(登記簿)で調べることができます。登記記録(登記簿)の「甲区」には所有権に関する事項が記載され、「乙区」には所有権以外の権利に関する事項が記載されています。
例えば、所有権でも共有名義の場合であれば、一体で売却するには共有者全員の合意が必要ですし、一戸建ての土地が賃借権なら売却に当たって地主の承諾が必 要となります。また、抵当権や差し押さえなど、不動産の売却に債権者との調整が必要な権利もあります。このように権利関係の状況は、売却の手続きに影響し ますので、しっかりと整理をしておくことが必要です。
また、一戸建てで増築したことがある場合は床面積の変更登記がなされているかなど、必要な変更登記がなされているかも確認しておきましょう。
土地を売買する場合、土地の境界線を明確にする必要があります。登記記録(登記簿)や公図などの書面上は元より、現地でも明らかにする必要があります。現 地では、境界を示す目印(これを「境界標」といいます)で確認します。ただし、境界標がない場合は、土地の実測作業を行った上で、隣地所有者と協議をして 境界確認書を交わすなどの手続きを踏む必要もあります。境界が不明確な場合は、後で境界紛争の元になる可能性がありますので、事前に確認をしておきましょ う。
瑕疵とは、雨漏りや建物の傾き、設備の故障などの物件の欠陥などのことをいいます。物件にこのような瑕疵がある場合、瑕疵の内容とその対処を明確にした上で売却する必要があります。
例えば、雨漏りなどの修復可能な瑕疵であれば、修復してから売却するという選択肢が考えられます。その場合は、売却の諸費用として修復費用を追加負担することになります。
あるいは、修復費用に相当する額を売却予定価格から差し引いた価格で売ることも考えられます。このように物件に瑕疵がある場合は、売却の諸費用や売却価格に 影響する可能性があります。最終的にはその対処方法を自分で判断する必要がありますので、事前に不動産会社とよく相談するとよいでしょう。
※民法の改正により、令和2年4月1日から民法上「瑕疵」という用語がなくなり、「契約不適合」という用語になりました。雨漏りや建物の傾き、設備の故障も契約不適合です。売主は、種類、品質に関して契約内容に適合した物件を引き渡さなければならないという義務を負います。
物件の老朽化の状況についても瑕疵と同様に確認したほうがよいでしょう。建物や設備が老朽化すると見栄えも悪くなります。売却活動前にリフォームをしても、購入希望者の好みに合わないという可能性もあります。売却時にリフォームをしたほうがよいのかについても、不動産会社と相談しながら、最終的には自分で判断をしましょう。なお、リフォームをした場合は、その記録を買い主に引き継ぐことが大切です。
宅地建物取引業法により、不動産会社との媒介契約書面に建物状況調査のあっせんの有無が記載されます。建物状況調査とは、国土交通大臣の定める講習を修了した建築士が、建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査です。これを行うかどうかは任意ですが、売主が、売却する物件について建物状況調査を実施することで、購入希望者に安心感を与えることができたり、引渡し後のトラブル回避につながるなどのメリットが想定されます。調査費用が発生しますが、不動産会社があっせんをする場合は相談することもできます。
※掲載情報は【不動産ジャパン】サイトより転記しています。