阿蘇火山は東西18㎞、南北25㎞、周囲約100㎞の世界有数の巨大カルデラで、約27万年前から約9万年前まで4回の爆発的噴火を繰り返し、その影響でカルデラが形成されたと考えられています。

阿蘇ジオパークには「阿蘇火山の大地と人間生活」というテーマがあり、33か所のジオサイトと呼ばれる見どころのあるスポットがあります。

阿蘇ジオパークにはさらに3つのサブテーマがあります。
１つ目は、巨大カルデラに刻まれた噴火の記憶。
巨大カルデラが出来るまでの地形の変化や巨大噴火の影響について知ることで、人知の及ばない地球の息吹を感じることが出来ます。(大観峰カルデラジオサイト他)

2つ目は、地球の息吹を間近に感じる中岳火口。
中岳の「湯だまり」は阿蘇の景色として有名ですが、その地域で火山活動とともに暮らす人々との関係性は特徴的です。(中岳ジオサイト他)

3つ目は、火山がもたらした恵みと人々の暮らし。
湧水や温泉など火山活動はその地域で暮らす人々に大きな恵みをもたらしてきました。また、広大な草原を守るため、長年にわたって放牧・採草・野焼きを繰り返してきました。(南阿蘇湧泉群ジオサイト他)

こうして、人々は自然との共生をはかり、独自の文化が育まれてきました。
ほら、聞こえるでしょう、地球の息吹が。

熊本県南部の人吉市にある青井阿蘇神社は平安時代の大同元年(806年)9月9日に阿蘇神社の勧請(かんじょう)により創建された1200年以上の歴史を持つ神社です｡

鎌倉時代から明治維新まで約700年に渡りこの地を治めた相良家歴代当主の保護によりたびたび改修が行われてきました｡
現在の社殿群は江戸時代慶長15年から18年(1610年から1613年)にかけて造営されたもので､本殿､廊､幣殿､拝殿､楼門と附(つけたり)として棟札1枚･銘札5枚が平成20年に国宝として指定を受けました｡
境内の奥に本殿､その手前に廊､幣･拝殿､前方に楼門があり､各社殿は急勾配の瓦葺屋根､建物部分に黒漆塗りと赤漆を併用する技法､本殿や幣殿上部の色鮮やかな格狭間､朱塗りの襷､木鼻などに中世球磨地方独自の様式を継承しつつ､彫刻や彩色､飾り金具にみられる金箔を施した繊細で優美な植物文様など桃山様式を取り入れた完成度の高い社殿です｡

また､隣接地には明治時代まで1100年もの間､58代に渡り大宮司を務めてきた青井家の屋敷が｢文化苑｣として残されています｡1200年を超える神社の歴史と青井大宮司家を結ぶ｢むすび回廊｣､古来の信仰資料が収められている｢集古蔵｣､火災行事護摩壇一式を展示する｢好古蔵｣､西南戦争で薩摩軍人吉隊の宿舎となった｢継承殿｣､日本式庭園の｢古庭園｣など悠久の歴史を感じて下さい｡

青井阿蘇神社･文化苑はJR人吉駅から徒歩5分｡

山鹿に明治43年に建築された芝居小屋｢八千代座｣は地元の旦那衆が町の繁栄を図る為に劇場組合を作り､1株30円の株を募集し建築されました｡

木造二階建てで当時は階上444人､階下830人の計1,274人収容できた八千代座の設計者･木村亀太郎は回船問屋の主人で､建築には素人だったため歌舞伎座等各地を見学し研究を重ね､舞台中央に直径8.5mの人力の廻り舞台やセリ､天井広告､桟敷席､奈落やぶどう棚など充実した設備を持つ芝居小屋を完成させました｡建築は伝統的木造建築ですが､小屋組がトラス構造となっているなど､西洋建築の技法も用いられています｡

明治44年に｢こけら落とし｣が行われ､大正･昭和と文化芸能を楽しむ場として活躍してきましたが､人々の嗜好の変化やテレビの普及により昭和48年に閉館､建物の老朽化が進みました｡昭和61年､老人会が｢瓦一枚運動｣で募金活動を行ったのをきっかけに復興活動が活発化､平成8年に平成の大修復が始まり平成13年5月竣工式が執り行われました｡

公演がない日は建物内を見学することもできます｡
八千代座の斜め向かいにある白壁土蔵造りの資料館｢夢小蔵｣は八千代座よりも古い明治20年の建築で､住宅兼倉庫だったものを再生したものです｡舞台小道具約150点が収納･展示されているほか､八千代座の歴史を紹介するビデオ放映も行われています｡