借りるときに知っておきたいこと

相場、予算、物件選び、契約・解約、入居、退去時の注意点まで。
不動産を借りるときに必要な基礎知識をまとめました。

(5)住まいを探す

5 - 2 不動産広告の見方(基本編)

不動産広告には、住まいに関する多くの情報が記載されていますので、広告の情報を正しく理解することが、物件検討の入り口となります。
そこで、ここでは広告の見方を解説していきます。

これだけは知っておきたい不動産広告の規約

不動産広告には、消費者保護を目的として、その表示方法などに関していくつかの規制があります。
ひとつは、宅地建物取引業法による規制で、誇大広告の禁止や広告の開始時期の制限などが定められています。また、公正取引委員会の認定を受けた業界の自主規制である「不動産の表示に関する公正競争規約」(以下「表示規約」)では、広告の表示の仕方や基準などが定められています。

不動産広告の基本的な規約

表示規約では、不動産広告に表示しなければならない事項や表示する際の基準が定められています。以下、基本的な規約について見ていきましょう。
※各項目(赤)および吹き出しをクリックすると詳しい説明が確認できます。

不動産広告サンプル 所在地 交通 専有面積 間取り 構造・規模・階数 竣工 賃料・礼金・敷金 管理費 損害保険 駐車場 定期借家かどうか 仲介 免許 取引有効期限
※この表示例は新聞折込チラシの場合のものです
1.所在地
新聞、雑誌広告などでは地番は省略されることもあります。地番とは登記記録(登記簿)に表示された地番のことで、一般的に使われる住居表示の番号とは異なる場合があります。
2.駅等までの距離
徒歩による所要時間は、駅からの道路距離80mを1分(端数切り上げ)として計算されます。信号の待ち時間や歩道橋の上り下り、坂道、道路の横断などにか かる時間は考慮されていません。また、改札口からではなく、物件にいちばん近い駅の出入り口が基準になるため、ホームまではもっと時間がかかることもあり ます。
3.専有面積
㎡単位で延べ床面積が表示されます。マンションのバルコニーや室内の天井を高くして2層式にした屋根裏収納(グルニエ)などは、面積には入りません。
4.間取り
間取りを表す場合、4LDKなどの表示がよく使われます。数字は居室の数を表し、Lはリビング、Dはダイニング、Kはキッチンを表します。建築基準法で は、居室には採光や換気のための一定の間口が必要と定められていますので、それを満たさない部屋は納戸(N)やサービスルーム(S)と表示されます。
また、居室の広さを示す1畳は、1.62㎡以上の広さがあるという意味でなければならないと表示規約で定めています。
5.構造と階数、賃貸戸数
賃貸住宅の建物の構造としては、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造(S造)、軽量鉄骨造、木造などがあり、 SRC造、RC造、S造はマンション、その他の構造はアパートと呼ばれています。一般的にはマンションのほうが耐火性、耐震性、遮音性が高いといわれてい ます。
階数については建物全体の階数と該当する住戸の階数が記載されています。
なお、構造や階数の表示は、賃貸住宅が10未満の場合は省略される場合があります。また、新築の賃貸マンションは、今回賃貸される戸数についても表示されます。
6.建築年月
築○年という表示ではなく、建物が竣工した年月が表示されます。なお、まだ入居者が入ったことのない物件でも建築後1年以上経過していると、不動産広告では「中古」と表示されます。
7.賃料、礼金、敷金など
毎月支払わなくてはいけない賃料のほか、契約時の初期費用として、礼金、敷金などが必要な場合には、その旨とその額が記載されます。敷金などについて、退 去時に一部が返還されないことが契約の条件である場合には、その旨とその額、あるいは割合も記載されます。
8.管理費(共益費)
賃料以外に、管理費(共益費)が必要な場合には、その額が記載されます。
9.損害保険加入の有無
住宅総合保険等の損害保険への加入が契約の条件となるときには、その旨が記載されます。
10.駐車場の利用条件
駐車場がある場合は、月額の駐車場利用料などの利用条件が記載されます。
住宅の賃貸借契約とは別に駐車場の賃貸借契約を結ぶ場合には、敷金、礼金や契約条件などが記載されることもありますので確認しましょう。
11.定期建物賃貸借契約かどうか
定期建物賃貸借(定期借家)契約である場合には、その旨と契約期間が記載されます。
12.取引態様
広告を掲載している不動産会社の立場(取引態様)が必ず明示されます。不動産会社の取引態様によって、仲介手数料などの取り扱いが変わります。
媒介(仲介) 広告主である不動産会社が、貸主と借り主との間に立って契約を仲介します。
代理 広告主である不動産会社が、貸主の代理人として契約します。
貸主 広告主である不動産会社が、自ら所有する物件を直接賃貸します。
13.免許番号
不動産会社名と免許番号が記載されますので、不動産取引(宅地建物取引業)に必要な免許を受けているかどうかの確認をしましょう。( )内の数字は免許の更新回数で、数字が多いほど営業年数が長いことを示します。

14.取引の条件の有効期限(チラシ等の場合)、情報更新日等(インターネットの場合)
売却物件に比べると、賃貸物件は短期間で入居者が決まることが多く、また、条件のよい物件は早く入居者が決まる傾向があります。取引の条件の有効期間や情報更新日なども確認しておきましょう。

・表示規約の詳細を調べる

不動産公正取引協議会連合会「公正競争規約の紹介」を参照 外部サイトへ

おとり広告などに注意

表示規約によって、不動産広告では「おとり広告」が禁止されています。おとり広告とは、実際には取引できない物件(架空物件や契約済みの物件、契約する意思のない物件など)の広告のことで、集まった客に他の物件を紹介して取引することを狙いとする悪質なものです。
また、物件を優良に見せるための不当な比較広告、誇大広告、虚偽広告、実際の物件よりも著しく優良であることを示す優良誤認表示なども禁止されています。

※掲載情報は【不動産ジャパン】外部サイトへサイトより転記しています。