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間違いのない賃貸住宅探し

第4回 明け渡し時の「原状回復」はどこまでが常識?

賃貸住宅で契約が終了し部屋を明け渡すときの「原状回復」について、費用負担や貸主・借主の負担割合などについてみていきます。
賃貸住宅の契約終了時にトラブルをおこさないように注意点についてまとめます。

「原状回復」の考え方を理解しよう

契約が終了し、部屋を明け渡すときに「敷金の精算」を行います。
このときよく耳にするのが「原状回復」という言葉ではないでしょうか。
東京都では賃貸住宅のトラブルを未然に防ぐために、『賃貸住宅トラブル防止ガイドライン』を作成しています。それを基に、原状回復についてみていくことにしましょう。

まず、一般的な建物賃貸借契約書には、「借主は契約終了時には、本物件を原状に回復して明け渡さなければならない」といった定めがありますが、この場合の「原状回復」とは、借りていた物件を契約締結時とまったく同じ状態に回復するということではありません。

たとえば、レンタカーを数カ月借りたとします。

数カ月も乗っていれば、タイヤもすり減ったりするでしょう。だからといって、車を返すときにレンタカー料金以外にその復旧費用を別途請求されることはありません。

一方、不注意で車をぶつけてしまった場合などは、レンタカー料金以外に復旧費用を請求されることになります。

賃貸住宅についても同じように考えることができます。


「原状回復」は貸主と借主のどちらが負担するの?

それでは原状回復にかかる費用は、貸主と借主はどのように分担すればよいのでしょうか。それをみていくことにしましょう。

1)貸主の費用負担の範囲

 通常の使用に伴って生じる程度の損耗(通常損耗)は、時間の経過に伴って生じる損耗(経年変化)などの修繕費は、家賃に含まれるとされており、貸主が負担するのが原則です。

 たとえば以下のような場合は、通常損耗や経年変化となります。

◆壁に貼ったポスターや壁画の跡、◆家具の設置によるカーペットのへこみ、◆日照等による畳やクロスの変色……など。

2)借主の費用負担の範囲

 借主に義務として課されている原状回復は、退去時に、借主の故意・過失、通常の使用方法に反する使用など、借主の責任によって生じた損耗やキズなどを復旧することです。

 また、本来は通常損耗等に当たるものであっても、借主がその損耗を放置したり、手入れを怠ったことが原因で、損耗が発生・拡大した場合には、「善管注意義務」(善良なる管理者としての注意義務)に違反した考えられ、その復旧費用は借主の負担とされることがあります。

 たとえば以下のような場合は、借主の負担となります。
◆タバコによる畳の焼け焦げ、◆引っ越し作業で生じた引っかきキズ、◆借主が結露を放置したために拡大したシミやカビ……など。


借主の負担割合はどこまでか?

経過年数の考え方

たとえばクロスの一部を借主の不注意で破いてしまった場合、破損した部分のクロスの張り替え費用は借主の負担となります。
しかし、破損部分もやはり通常損耗・経年変化をしており、その分の経費は貸主の負担となります。
したがって借主は破損部分の補修費用から、通常損耗・経年変化の分を差し引いた額を負担すればよいわけです。

破損部分と補修箇所の差が大きい場合

クロスを破損した場合の借主の費用負担は、u単価で算出するのが原則です。
ただし、破損部分だけの張り替えでは、色あせた他の古い部分と新たに張り替えた部分との調和が取れなくなってしまうため、クロス一面分を張り替えるケースが少なくありません。
このような場合は、全体を借主の費用負担とすることもありますが、経過年数を考慮し、通常損耗・経年変化分を差し引いたものを、借主の負担とすることになります。
なお、貸主が色合わせのために全体のクロスの張り替えを行う場合は、破損していない他の面の張り替え費用は、貸主の負担となります。


借主の負担単位 ( 一般的な考え方 )

◎ 負担単位の定め方 …… 可能な限り、毀損等の部分に限定したもの。 補修工事の施工が可能な最小単位が基本

負担内容 借主の負担単位 経過年数等の考え方
毀損部分の補修

◆原則1枚単位。
◆毀損部分が複数枚の場合は、その枚数分(裏返しか表替えかは、毀損の程度による)。

◆畳表は、消耗品に近いものであり、経過年数は考慮しない。
カーペット・クッションフロア

◆毀損部分(単位は特になし)。
◆毀損等が複数箇所の場合は、居室全体。

◆畳床・カーペット・クッションフロアは、経過年数を考慮し、負担割合を算定する。
フローリング

◆原則u単位。

◆毀損等が複数箇所の場合は、居室全体。
◆フローリングは、部分補修の場合は、経過年数を考慮しない。
壁・天井(クロス) 毀損部分の補修 壁(クロス)

◆原則u単位

◆クロスの張り替えが必要な場合は、毀損箇所を含む一面分までを借主の負担とすることもやむを得ないものと考える。
◆壁・クロスは、経過年数を考慮し、負担割合を算定する。
タバコのヤニ ◆クリーニングで除去できず、張り替え等が必要な場合のみ、居室全体(クリーニングで除去できるヤニは、通常使用による損耗であり、貸主の負担)。  
建具・柱 毀損部分の補修 ふすま ◆1枚単位。 ◆ふすま紙・障子紙は、消耗品であるため、経過年数は考慮しない。
◆1本単位。 ◆ふすま、障子等の建具部分、柱は、経過年数を考慮しない。
設備・その他 設備の補修 設備機器 ◆補修部分、交換相当費用 ◆設備機器は、経過年数を考慮し、負担割合を算定する(新品交換の場合も同じ)。
鍵の返却

◆補修部分。
◆紛失の場合は、シリンダーの交換も含む。

◆鍵の紛失の場合は、経過年数を考慮しない。交換費用相当分を借主負担とする。
通常の清掃※

クリーニング

※通常の清掃を怠った場合
◆部位ごと、または住戸全体。 ◆経過年数は考慮しない。借主負担となるのは、通常の清掃を実施していない場合で、部位もしくは、住戸全体の清掃費用相当分を借主負担とする。

(注) 通常の清掃 :ゴミの撤去 、 掃き掃除 、 拭き掃除 、 水回り清掃 、 換気扇やレンジ回りの油汚れの除去。
資料:東京都『賃貸住宅防止ガイドライン』(平成16年9月)より。


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